給与や賃金の支払いにはちゃんと原則というものがある。
しかも5つも。
その賃金の支払いの原則のひとつが労働基準法24条1項に定められた『通貨払いの原則 』というやつだ。
「通貨払いの原則」とは何か?
「通貨払いの原則」とは『賃金は、通貨で支払わなければならない。』ということ。
要するに、法律的に賃金の現物払い(物による支払い)を禁止しているってことだ。
「通貨払いの原則」の通貨とは?
「通貨払いの原則」の通貨は、「日本銀行発行の紙幣、硬貨」のことを言う。
外国通貨は含まれない。
日本で働いていて、ドルで賃金を払うってのは原則的に認められないってことね
また原則的に手形や小切手は駄目。
電子マネーやポイントも通貨とは言えないのでダメ。
賃金の口座振り込みや定期券が認められている理由
『通勤手当が定期券で支給されている』なんてケースは、実は、労働組合と労働協約が結ばれているから。
賃金の現物払いが認められているのも、労働協定が結ばれているからか、労働者の同意があるからということと。
ちなみに、給与の口座振替が認められているのは「賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、(以下略)」という条文があるから。
でも、この場合でも労働者の同意がない口座振替は本来認められない(現実はちょっと違うけど)。
会社から給与振り込みの口座を指定することも本来はNG(これまた現実は違う場合があるけど)。
給与の口座振り込みが一般的になったのは某有名事件から
ちなみに賃金・給与の口座振り込みが一般的になったのは、1968年(昭和43年)12月10日に起こった、かの有名な「三億円事件」から。
東京芝浦電気(現・東芝)の社員のボーナスを日本信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)から運んでいた現金輸送車が白バイ警官を装った男にだまされ、当時の3億円の現金を載せた輸送車ごと奪われた事件。
昭和43年の3億円というと、今の10億円以上になる。
まあ、この事件、東芝も銀行も従業員も損をしなかったという話だが。
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